
母の圧迫骨折から始まった気づき
「どうして、こんなに簡単に骨が折れてしまうのだろう?」
骨粗鬆症や年齢のせいだけでは説明できない気がして、私は原因を探し続けました。
80歳の冬、母はナンテンの鉢を持ち上げた瞬間、ぎっくり腰を起こしました。
それをきっかけに、わずか半年の間に背骨や肋骨を合わせて 12本も骨折。
「どうして、こんなに簡単に骨が折れてしまうのだろう?」
骨粗鬆症や年齢のせいだけでは説明できない気がして、私は原因を探し続けました。
背骨を壊す小さな習慣
やがて気づいたのは、母が荷物を持つときに無意識にしていた 肘を外に張り出す癖 でした。
一見たいしたことのない姿勢ですが、肘を外に張ると腕だけで重さを受け止めてしまい、背骨に大きな負担が集中します。
特に骨がもろい高齢者にとって、それは 圧迫骨折の引き金 になります。
肘の癖は歩き方まで崩す
試しに、肘を外に張ったまま足踏みしてみてください。
脚が真っ直ぐに上がらず、歩き方まで崩れてしまうはずです。
つまりこの癖は、背骨だけでなく 股関節や膝の不調にも直結 しているのです。
肘を内側に向けるだけで変わる
母に伝えたのは「肘を下(体側)に向けてみて」ということでした。
たったこれだけで背骨への負担が大きく減ったのです。
さらにコツがあります。
荷物を持つときは 小指・薬指をメインに握る と、自然に肘が外に張らず、体全体で重さを支えられます。
パソコンやスマホを操作するときにも、この意識を持つだけで首や腰の負担はぐっと減ります。
「気をつけて」だけでは変わらない理由
ただし実際には、「肘を下に向けて」と言われてもできない方が多いのです。
なぜなら、手首や肩甲骨、股関節が固まっていると、正しく肘を保つこと自体が難しいからです。
無理に意識しても、気づかないうちにまた肘は外へ逃げてしまいます。
無意識の癖を変えるには専門家のサポートが必要
当院では股関節を中心に 全身の関節をつなげる施術 を行っています。
肘や手首だけでなく、肩甲骨や足首まで柔らかく動かせるように整えることで、無意識に肘を外に張る癖が改善され、背骨や膝への負担も軽くなります。
母も今では週に2回の施術を続けながら、毎日10曲以上踊れるほど元気になりました。
「若いころよりスタスタ歩ける」と笑顔で話す姿を見ると、体の使い方ひとつが人生を大きく変えるのだと強く感じます。
まとめ:肘を正せば、親の未来が変わる
圧迫骨折や腰痛の裏には、見逃されがちな 肘の癖 が隠れています。
娘さんが気づき、声をかけることはとても大切です。
ただし本当に癖を変えていくためには、関節が正しく動ける体の土台が必要です。
「肘を下に向ける」――このシンプルな習慣を、無理なく続けられる体を一緒に作っていきましょう。